FankyYankyGoshirakawa
ファンキーヤンキー後白河
では、謡うぞ!
といきなり法皇は居並ぶ権門貴族をにらみつけた。
ほとけは常にいませども うつつならぬぞあはれなる 人のおとせぬあかつきに ほのかに夢にみえたまふ
(大意……だーれもいないと思っていても、どこかでどこかで、ほとけさま、いつでもみんなを見つめてる。仏罰あてよと見つめてる。踊りつかれてすっかり寝込みゃ、夢見る夢見る夢見るぞ、ほとけが出てくる夢見るぞ)
いや、謡っている場合ではありませぬぞ。と、義経は舌打した。
さすが稀代の音楽家、耳も良い。
今のは誰じゃ?
そこで目が合った。
そうか、鎌倉のことか。あのお調子小僧めが東の果てで調子こきまくってぶいぶい言わせているのは聞こえているぞ。そうだ、義経、兵を挙げよ。門出に歌って踊ってくれよう。
遊びをせんとや生まれけむ 戯(たわぶ)れせんとや生まれけむ 遊ぶ子供の声きけば わが身さへこそゆるがるれ
(大意……そうさ、おいらは遊ぶため、戯れるために生まれて来たんだ、間違いない。ほらほらそこらの子供も教えなくても遊んでるじゃないか、えじゃないか。それにあわせて、ノリノリ自然にカラダが動く、そいつがおいらの今様(モダンビート)だ、えじゃないか)
さあ、みなの衆、いっしょに踊れや狂え、さあ謡え!
ゆるがるれ、ゆるがるれ、ゆるがるれったら、ゆるがるれ
(大意……レッツダンス、ダンス、ダンス、ナチュラルバイブではいはいはい)
へい、そこ! るの字を一個とばしたぞ。ゆるがるれ、ゆるがるれ、ゆるがるれったら、ゆるがるれ。
父、鳥羽法皇曰く、
文にあらず、武にもあらず、能もなく、芸もなし
(大意……ニートなやつ)
だが、もののふを好き勝手に顎でこきつかっては切り捨てながらも、誰よりもぶいぶい言わせて調子こいて天寿をまっとうしたのはまことに天晴れである。
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