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日々の破片

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2008-07-01

_ Ruby-1.9.0-2 Windows Installer Package

Ruby-1.9.0-2(MD5 checksum: 81731b19e3538ad800eaca01ef887ab6)

Windows Installerパッケージを作ったので試してみてください。

このパッケージは、ruby-1.9.0-2を、VC++6(SP5)を利用してビルドしたものです。readline、gzip、openssl、iconvは同梱してあります。また、ruby-dev:35270のパッチが当たっています。

_ フェラギュス読了

やっとバルザックを読み始める。見事なまでの大物語で辟易しなくもないが、おもしろかった。

十三人組物語 バルザック「人間喜劇」セレクション(バルザック/鹿島 茂/山田 登世子/大矢 タカヤス/西川 祐子)

大して能力があるわけでもない王政復古のおかげで安泰な地位につけた世襲貴族の息子(20代)が好きになった他人の奥さんを街で見かける。そこで跡をつけると、いかがわしい小路に入っていくではないか。

しめしめ、弱みを掴んだと思う反面、なんともったいぶった女のくせに裏があるのかいなと義憤にもかられる。

というわけで、どんどん彼女を追い詰め始める。有能な執事に探偵させたりして、ついに黒幕らしきなぞの老人の存在に気づく。相手の男を突き止めたぞ。と大喜びだが、気づけば次々と命が危ない羽目になる。最初は荷物が馬車めがけてふってくる。まるで張良が始皇帝を狙った方法みたいだ。次に馬車の車軸が折れて大事故が起きる。車軸がいつのまにか空洞のある粗悪品に取り換えられたのだ。そしていきなり侯爵から決闘を挑まれて心臓の直下に穴を開けられる。どうやら、秘密に近づけば近づくほど殺されるということに気づく。かくして、彼女と夫が一緒にいるところでカタをつけようと乗り込んでいき、かくしてみんな死んでしまうか、廃人になってしまう、おそるべき悲劇の人間喜劇の幕が開く。

というようなお話。このごにおよんでも、怪談の累のように死後も夫を縛ろうとする妻とか、娘のためなら大やけどもへっちゃらなおやじとか、そのおやじに惚れぬいて最後は身を投げてしまういかしたお針子さんとか、多彩な人々が出てくる。特に、このお針子さんが実にいい味を出していて、手紙も良いのだが(奥さんと対照的になっている)描写もしつこい。

さて、乱入してきたのは、こういうパリのお針子の1人、それも輝くばかりに美しいお針子であった。フィアークルで乗り付けるお針子、楽しげで、若くて、美しいお針子である。だがお針子はお針子であって、爪を研ぎ、鋏を隠し持ち、スペイン女のように大胆で、妻の権利を主張するイギリスのレディのように喰ってかかり、貴婦人のごとく魅惑的で、しかももっとあけすけ、何でもこいのお針子である。赤いキャラコのカーテン……

という具合にえんえんと続いて、留まるところを知らない。

しかも物語が終わったと思うと、カフカ的な官僚世界によるたらいまわしが延々と果てしなく続いたりもして、いったい、何がしたいのかも思ったり。(たぶん、そういう世俗的な迷宮に対して、いかに十三人組が鮮やかに無視して斜め上を突っ走るかを書きたかったのかも知れない)

というわけで、物語はスリルとサスペンス、日常世界の冒険を描いて引き込まれるのだが、それを上回るバルザックの饒舌ぶりで、地の文が長いのなんのって、全然話が回らない。すぐれた映画が映像と音楽で組み上げるところで、その代わりに、地の文で構造を作っているように思える。(気がついたが、物語が機能要件なのだな。すぐれた作品は映画、文学を問わず、非機能要件の実装がすばらしい)

残りの2作(ランジュ侯爵夫人は読まなくてもいいかな)も読むかなぁどうしようかなぁという感じではある。めっぽうおもしろいことはおもしろいのだが。


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