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日々の破片

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2021-04-16

_ 明治の伍百圓

妻が成田山へ行こうというので行ってみた。

駐車場の位置を間違えて成田山公園側のほうへ行ってしまったので、書道美術館の前を通って、筆魂、水琴窟を見てから、修行用の滝をまず眺めた。

飛び石をつたっていくと、脱衣場のような四角い天井が無い石室があって、よく見ると不動明王と護法童子が2人、こちらを見ている。まるで、誰もいないと思って着替えているとどこかでどこかでエンジェルがいつでもこちらを眺めているのような、不思議な風景でおもしろい。

で、山を登って、旧本堂が立派でおもしろい。軒下の木彫りの龍とか実に良いものだ。西のガーゴイル、東の龍だな。

さらに旧本堂の裏の小山の下に奥の院の洞窟というのがあって、覗くと何かがライトアップされているが、よくわからない。その覗き窓がある扉の両脇には後醍醐の時代の陰彫りされた石板が嵌め込まれていて、これもおもしろい。それにしても、なかなかのテーマパークっぷりで、釈迦堂の後ろに山ほど嵌めこまれた寄進の板を眺めているときは気付かなかったが、その後釈迦堂に上がって眺めたら、五百羅漢だか二十四孝だかが上のほうにいっぱい並んでいるのがわかって、至るとこに趣向が凝らされていて抜群だった。

と、裏から新勝寺を見ることになった。

その後、額堂の木の狛犬(にしか見えないが、壁からにょきにょき生えだしている)がかわいいと話ながら参道に出て又兵衛のザッコ煮とか買ったりする。ザッコという比較的細い魚と海老の中に平たい鮒が混ざっていて、どうも子供の頃に食べたような気がする。鮒が当たりと決めていたので、鮒を残して海老とザッコだけをまず食べるとかしたわけだが、鮒ということは淡水魚だし、一体、又兵衛とはなんだろう? と後で調べたら、印旛沼の畔に工場があるので納得しまくる。

狛犬

妻が、成田山なら鰻というので鰻を食べる。ちょっと生臭さを感じたが、そう悪いものではなかったが、何しろ頼んだらわりとすぐ出て来て驚いた。あらかじめ蒸してあるのを炙って出したのかな。妻は、どうせ金出すなら、都内の普通の鰻屋で食べれば良かったとぐちぐち言っていたが、ご飯は固めだし、そこまで悪くもなかった(値段は観光地1.5増しと考えれば、むしろ良い部類だろう)。

再び新勝寺へ戻る。

仁王門に甕割り少年(子供の頃に読んだ本(数ページずつの伝記の断片みたいなのが載っている本で、孟母三遷とか曹操の息子の船で目方を測るやつとかと一緒に甕割り少年の話も出ていたが、最近はまったく目にしないなぁ。藤田東湖が倣ったくらいだから(と書いて気付いたがそっちは文天祥だった)当然、彫った当時は有名だったのだろうが)が、竹林七賢人と並んで彫られていて、8枚のパネルを作るのに七賢人では一人足りないと無理矢理入れたのだろうが、その選択が興味深い。資治通鑑を書いた学者っぷりが七賢人と並ばされた理由かな? とかいろいろ考える。

まあ、とにかくあらゆるところに様々なモチーフがあっておもしろいのなんのって、ここまで見物客(本来は信徒なのだろうが)を飽きさせないための趣向の数々には感心しまくった。

帰るために裏山に戻ると道を間違えたのか、寄進の石碑がやたらと並ぶところに入り込んだ。だいたい500円で、見ると明治40年代だが、そのうち300円、200円、100円と明治30年代、20年代と下がるにつれて安くなるのがおもしろい。40年代でがっと上がるのは日露戦争で儲けた人が寄進し始めたのかな? とか考える。

帰りは東関東道に入らず、水戸街道へ続く線路わきの道を走ったので、印旛沼を少し眺めることができて、なるほど、これが印旛沼ですか、と初めて尽くしの見納めかと考える。(その後で、水戸街道沿いに山ほど梨園が出て来て、(おれは知らなかったが妻が)なるほどこれが松戸の梨ですか、と言い出したので、初めて尽くしは終わらなかったわけだが。


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