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日々の破片

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2013-05-03

_ ベルトルッチの孤独な天使たち

ベルトルッチ10年ぶりの新作を観にシネスィッチ銀座。いつの間にか全席指定になっている。

黒地に白と赤でクレジットが次々と。ヌーベルバーグ(というか1960年前半のゴダール)っぽいなぁ。

クソ生意気そうで吹き出物だかソバカスだかと薄らと髭の髪の毛もしゃもしゃの青年が目つき悪く出てくる。14歳だという(青年じゃなくて少年だ)。あー、14歳か。カウンセラーと会話。~は普通だ。普通ってなんだ? 普通だ。みたいな、会話。あー、14歳っぽい。表に出てヘッドフォンをつけて歩き出す。

キュアのボーイズドントクライを聴いている。レストランでの母親との会話。母親、怒れよ。

Boys Don't Cry(Cure)

学校で教師が集金についての注意を言っている。それにしても、イタリアの教室ってちゃんと年齢別になっているとしたら、同じ14歳でもやたらと見た目に幅があるなぁと驚きながら観ていると、主人公は茶封筒をしばらく眺めて、中を抜出して、捨ててしまう。反抗期そのものじゃん。

で、クラスが終わるとみんな小グループに固まるのだが、ヘッドフォンをして一人廊下へ出て(この曲は知らないが、やはり1980年代っぽい)窓際で寄りかかっている。女の子が、「葉っぱやりにいかない?」とか誘ってくれるが無視。

なんか、いたたまれなくなってくるが、幸いおれは遥かに年を食っているので平然と見続ける。

と、実にイタイ映画だった。70の爺さん(=ベルトルッチ)が、ほぼおれと同世代の作家(60年代生まれ)の小説を映画化しているわけだが。

孤独な天使たち(ニッコロ・アンマニーティ/中山 エツコ)

(10代だったら読むかも知れないが、まあ読まない。と思ったがベルトルッチは70代の時に病床で読んだらしいから、顰に倣えば数10年後に読んでも良いかも)

上から両親が見下ろし、自己愛の塊だから充足しているんだ、というような評を下さす夢を見る。

スキー教室(学校で集めていたお金の正体)に行くふりをして(車中で母親と大喧嘩する。「おれはここで降りる」「だめよ」(もちろん、逃げるためだが、)「母親が送ってくれる間抜けはおれ一人だよ!」……で、一応ふりだけは集合場所へ行くが、確かに、みんな歩いてくる。まあ、そういう家庭なのだろう。

アパルトメントの地下室に道具や食料(学校の帰りにおそらく教師に出さずに着服した金で、コーラだのを7つずつ買い込んだもの)を運び込み、古びたベッドを引っ張り出してヘッドフォンで音楽を聴く。

はて、この調子で7日間を描くのか? と不思議になる。

アリを飼っている。

突然、若い女性が入って来る。20代に見えるけど、この調子だと10代後半なんだろうなぁ。

異父姉だということがわかる。どうも、父親が手をつけた田舎の靴やの娘との子供らしい。

かくして、残り6日間の共同生活が始まる。姉はヘロイン中毒から抜けるための隔離場所を探していて荷物を取りに来たのだ。ロレンツォは姉の荷物から本を見つけて読み始める。バンパイアものっぽい(うはー)。結局行くあてがなくここで暮らすことになる。

後は、ほぼ地下室の暮らしにあてられる。途中、睡眠薬を入手するために、祖母が入院している病院への旅へ出る。夜中に目を覚ました祖母との会話。この祖母の役者が実に良い。

最後、晴れ晴れとした顔で家へ戻るところでストップモーション。どこかで折り合いをつける必要があるということは学んだのだろう。

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中二病に、日本とイタリアの国境がないことがよーくわかる映画だったが、そんなことよりも、ベルトルッチの映画のうまさが抜群で、ほとんど動きの無い映画で、(狭いし)アップが多用されるのだが、まったく気にならない。実に映画の時間がきれいに流れる。したがって、まったく退屈もしない。

最後の夜、姉がデビッドボウイのスペースオディティのイタリア語版(ただし、歌詞が全く異なるので、もしかすると映画用に吹き替え直したのもかもしれない? 予告編には「ロンリーボーイ、ロンリーガール」と出ているけど、なんのことだ?)にのせて、ゆったりとしたダンスを踊るところが、まさにベルトルッチの映画の美しさ。というか、かってのドミニクサンダの役回りっぽい画なのだが、はるかに美しいのは静かだからかなぁ?


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