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ルサルカを観にバイエルンシュターツオパー。
14年前に新国立劇場で観て以来になる。
ちょっと以前の日記を読み返してみたが、相当演出は異なるようだ。
まず森の精が水の精をからかうと書いていたが、最初水小鬼(water goblinと翻訳されていたが小鬼ではないな)はバーバと一緒に湖畔の部屋にいる。が、その地下で水の精たち(森の精なのか?)がいて乱暴狼藉を働く(水の精だと思ってみていたのだが、カーテンコールに謎の半裸の男が出てくるので、実は乱暴狼藉はそっちで水鬼が途中で射殺したのがそっちかも。
とはいえ水鬼にルサルカが人間になりたいと言うと殴り倒して説教をくらわすから、どうも家父長制の権化のようにも見える(ルサルカは英語翻訳ではfatherと呼んでいる)。
この水鬼はとにかく狂暴、強圧的で料理人を殺すところも情け容赦ない。
もしかして、そういう野蛮なコミュニケーションの自然界と、ソフィスティケートされた人間界のコミュニケーション(にルサルカはついていけない)の対比を演出したかったのかも知れない。
演奏はとても良い。指揮のエドワードガードナー(エリックの息子なのか?)は精妙(というか、これまで聞いてきてバイエルン国立管弦楽団の演奏は実に緻密だと感心しまくっている)でライトモチーフがわかりやすい。
ルサルカのグリゴリアンはもちろん素晴らしいのだが、考えたら2幕は最後に歌うだけ、3幕もほとんど歌わないと、歌わない役はもったいない! と思う反面、うろうろしているだけで感情表現ができる(というかわかる)からこそのルサルカとも思う。そもそもグリゴリアンが目当てでルサルカを選んだのだったから、大満足である。あと、カーテンコールでやたらと飛び跳ねて元気いっぱいアピール(ということもないのだろうが)がかわいい。
王子のブレスリク(と読むのかな)は実に良いテノール、魔女ダメラウもうまいし、水鬼も、料理人2人もいずれもとても良い。
なんか以前観た印象でところどころ美しいが全体としては退屈という印象があったのだが、ものすごくおもしろかった。
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